2009.04.28

第73回 (B) 価値あるIT投資をしていると胸張って言えますか?【IT・情報システム支援】

戦略情報システム部 部長 吉竹 昭人

現代の技術革新はものすごい勢いです。例えば自動車にしても、低公害エンジンやハイブリッドエンジン、水素を使用するエンジンこそ最近では有名ですが、細かなところではミラーも水滴がつかないような親水機能が向上しているのをご存知ですか?身近な自動車に関しても、我々は情報アンテナを敏感にしていないと、見えない部分の機能の向上に気付かずにどんどん取り残されていってしまう状況です。

企業の中でも、欠かせない環境として業務アプリケーションが存在しています。今や一年一昔という感覚で、企業の情報システム環境が目まぐるしく変わっています。
しかし、様々なIT環境を提供する情報システム部門自体の環境は、技術の進歩とは別に、いかに効率よく業務ができる環境を適時・適切な投資をして構築・運用していくのか、という表面上”見え辛い敵”と常に戦っている、という観点では今も昔もさほど変わっていない気がしています。

ここで、IT投資に関するROI(Return on Investment)について考えてみましょう。
一般的にROIとは、『ROI(%)=利益÷投下資本×100』で表すことのできる、投下した資本に対しての収益性を測る指標で、企業の収益力や事業における投下資本の運用効率を示すものと定義されています。投資利益率、または投下資本利益率とも呼ばれています。

特にIT投資におけるROIはIT-ROIとも呼ばれ、減価償却費、保守料などのランニングコストをも含めた総費用を考慮することが必要で、そのIT-ROIをもってIT投資が適切であることを説明できなければなりません。また、システム導入では、導入したシステムのどのような機能が、売り上げのどの部分に寄与するのかを明確にした「ROIモデル」の必要性も否定はできません。

しかしIT-ROIの本質は、決して財務数値のみで導き出されるものだけではなく、個々の投資物件が実際には見えない”価値”をどれだけ見出しているのかを整理・評価して、継続的な会社の発展につなげていくことだと考えています。
では、その”価値”とはなんでしょうか?

前号の「”便利”なExcelが招く”不便”」(第72回(B)参照)を例にとり、普段何気なく使用しているExcelで作成された財務情報や予算の集計シートについて考えてみます。
この新しいソリューション導入により、利用者は引き続き優れたユーザインターフェイスを使用しつつ、見えないところでデータベースと連携させているとします。これは、利用者に対してはこれまで通りの環境を提供していると同時に、会社内の情報整備や情報活用できる環境を簡単に提供できている、という状況になります。この場合、正となる情報収集を簡素化した結果もたされるポジティブインパクトが”価値”そのものだと思います。しかし、そのインパクト全体を数値化するのは容易なことではありません。例えば、以前はデータを手入力していたとするとその確認作業の手間が省けます。またエクセルの使い方に慣れていれば分析作業の操作時間などの手間も増えません。そして、この”価値”は会社の収益へ間接的に貢献しているかもしれませんが、単純に財務情報から算出することができません。
自動車に例えると、自身で決めた目的地まで”燃費よく”、”快適に”、”安全”かつ”スピーディ”に到着し”満足”できたことが、購入した(投資した)ことに対する”価値”であり、財布の状況だけではその全ては把握できない、ということと思います。

このように、数値化できない”価値”がIT-ROIをはじき出す元ネタであると確信していますが、それをどうやって可視化していくのか? が、企業内のIT投資に関わる大きな課題であると思います。技術革新がますます加速していく中で、情報システムの提供者としては、提供価値を増大させるという視点で日々アンテナを張り巡らせ、一般的な最新情報の把握と共に社内の様々な部署の業務課題を吸い上げるなど、効果的なIT投資を行っていくことの見極めが非常に重要と考えています。

そういう意味では、「”便利”なExcelが招く”不便”」で取り上げたソリューションについて、その意義・価値から考えられるIT-ROIは非常に高く、既に弊社内で幾つもの業務で活用し効果が出ています。でも御社で投資評価するとどうなるでしょうか?

(後書き)
私は、以前はお客様に対してサービスを提供し、その提供する価値に対してお客様に投資をしていただくという立場にありました。現在は社内の利用者をお客様と位置付け、常に価値を提供し続ける責任を負っていると考えています。こと、IT-ROIに関しては、同じような境遇にいらっしゃる方も多いかと存じます。その本質を今後も様々な視点で煮詰めていき、情報共有させていただきたいと思います。

MAIL MAGAZINE

メールマガジン

NEWS

ニュース

SEMINAR / EVENT

セミナー / イベント

セミナー/イベント一覧を見る

お問い合わせ