2009.07.14

第78回 (A) なにもわかっとらんなぁ。~インドのIT産業の話【経営・会計最前線】

株式会社ディーバ 代表取締役社長 森川 徹治

先日、インドのITベンダー最大手のグループの一角を占めるコグニザント・テクノロジー・ソリューションズの日本法人、コグニザントジャパン株式会社の代表取締役である竹内友章さんのお話を聞く機会がありました。とりわけ印象的だったのが、本国インドでは毎年新卒1万人を採用しているというお話です。また、日本では高学歴化が進み、社会に出る平均年齢も高齢化?が進んでいますが、インドでは学校での飛び級が普及していることで、大学卒の平均年齢も21歳前後だそうです。そして、彼、彼女たち(半分は女性だそうです)は、入社後数年で一人前となり、30代半ばで経営者をめざし、40、不惑の歳には事実上のリタイヤを目指すというのが理想的なキャリアプランの一つだそうです。

一社で1万人!いくら人口が多いと言っても、毎年1万人の新社会人が一つの企業に集まってくる社会とはどんなものか、想像を絶します。先進国を自称する国々の常識とは全く反対の世界がそこには存在しているのかもしれません。鏡の国のインドです。テレビの特集をかじる程度で、現地に行ったことすらない私にとっては、冗談抜きに空想世界の話を聞いているようでした。

話は続きます。さらに驚いたのは、人の工数と単価を基準にシステムの開発や運用を請け負うビジネスモデルでありながら、粗利が40%強!!というのです。日本を含め先進諸国ではこのままでは儲からんといって、海外へ開発の移転を進めていますが、インドではものすごい利益を生み出すビジネスとなっています。利益とはギャップから生まれるものです。かつて欧米から新興国と呼ばれた国は、経済格差を活かすだけではなく、人的能力も高め、先進国にとっては破格の値段の高度な専門サービスという大きなギャップを生み出すことで、このビジネスモデルを実現するに至ったのです。しかも、わずか10数年の話だそうです。

「やばい!」思わず心の中でつぶやいてしまいました。大して下調べもせず、初めて行く国に一人おりたち、エキゾティックな雰囲気にのまれ、好奇心と恐怖心を同時に感じるような感覚です。

私たちディーバでは、「Go Global」を合い言葉に、世界に通用する集団を目指し活動しています。これまでは私たちが身を置くソフトウェアビジネスの中心が欧米であることから、欧米ばかり見ていました。しかし、世界を代表するソフトウェア会社よりも高い利益率をサービスビジネスで実現しているという話は、しっかりとその事実にも目を向けなければいけないと強く感じました。

私たちはお客様の業務に貢献するソフトウェアパッケージを生業にしている会社です。業務ソフトウェアとは、業務ノウハウの固まりであり、プロフェッショナルサービスを効率よく普及する道具でもあります。業務ノウハウとは発明や発見により生み出されるものではありません。その業務に携わるお客様のノウハウを蓄積していくことによって発展するものです。そのような性格を持つ商品の開発に携わっていることから、「衆知による発展」、つまり、会社内はもちろんのこと、お客様やさまざまな有識者の知見、経験を活かし、お客様とともに発展することを重要な経営方針の一つとしています。インドのお話を伺うにつれ、私たちは、ますます「衆知による発展」を加速させ、お客様とともに創り上げるプロフェッショナルサービスとしてのグローバルソフトウェアをもっともっと真剣に創り上げていかなければとの思いを強めました。

衆知による発展を実現するには、非常に重要な原則があります。(1)それを使って特定の人だけを利してはならない。(2)それを生み出すものは、お互い対等な関係でなければならない。(3)そして、互いに信頼関係を結べるものによって共有されるものでなければならない。というものです。いずれも、人間の持つ善性に重点を置いたものです。もちろん、世の中そんなにあまくはありません。しかし、自らの力には限界があります。しかも、世界はどんどん変化しています。だからこそ、自らの役割を常に見直して、もっとも役にたてる分野を探し、そこに集中する。そして、足らないところは、協働という形でもっと大きな価値を生み出していくことが大切なのではないかと考えます。

原則を守りしっかりやりぬくことで、世界の潮流に取り残されることなく、世界中の企業で活用されるものへと発展させていくぞという気持ちを強くさせたインドの活力。インターネットやケーブルテレビでなんとなく知ったような気になっていましたが、冒頭の対談を終えて、「なんもわかっとらんなぁ」とつぶやく自分がいました。もっと世界を見なければいけませんね。今度はぜひ、インドの現場を見に行きたいと思います。

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