2009.11.25

第87回 (A) どちらも「しわけ」の「仕分け」と「仕訳」【経営・会計最前線】

ビジネスソリューションユニット 第2グループ長 公認会計士 斎藤 和宣

最近、テレビや新聞を賑わせている話題のひとつに、行政刷新会議が行っている「事業仕分け」なるものがあります。詳細に事実関係を確認しているわけではありませんが、いくつか感じる点について触れてみたいと思います。

テレビに映し出される事業仕分け会議の光景は、あたかも正義の味方が無駄使いをする悪者を懲らしめているかのように目に映ります。これは、報道機関の伝え方による影響も多分にあると思われますが、責め立てられる側が決して悪意がないと思われる一方で、そのような扱いをされているように見えるのは、なかなか気持ちのよいものではありません。
一方で、あらたな取組みを始めたい政権にとっては、現状ありきからスタートしていたのでは何も変えられないというのはもっともであり、ゼロベースに近い発想の事業評価を行うことは必要なのかもしれません。ただ、その成果がどれだけの無駄削減(単年度的視点)につながったというだけでなく、将来にわたってどのような効果が得られるかまで見えるととても分かりやすいのかもしれません。
また、事業仕分けの結果がどれほどの拘束力があるのか見えにくいことは、「仕分けの見直し」という言葉がすでに出てきていることからも感じられることで、テレビに映し出される事業仕分けの意味を考えさせられるところです。

ところで、この「仕分け」という言葉は、物事を区別して扱うことや、物を種類などで分類して整理することの意味を持っており、同様の意味合いを持っているものとして「仕訳」という字も存在しています。
「仕訳」は、一般的には、企業活動のなかで取引を勘定科目で分類し、借方・貸方で整理したものとして意味も持ち、企業活動を記録していく手段として利用されています。この仕訳を積上げたものが実績としての財務諸表という形で、企業活動の成果を示すものになります。同じ「しわけ」でありながらまったく漢字の表記によって、関連のない言葉のような印象さえ受けてしまいます。

ところで、企業においても前述の「事業仕分け」の発想が、必要なのではないかと感じることがあります。民間企業がまったく無駄のない組織のように対比されることがありますが、実のところは、民間企業の中でもそれまでの過去をベースとして活動が計画(予算が策定)されている部分があり、実は無駄(企業価値の最大化に反する意思決定)を生じているのかもしれません。
そうなると、行政刷新会議が行っている「事業仕分け」にならって、各企業においてもゼロベースから事業の見直しを図ることは非常に重要な手立てとなるのかもしれません。つまり、企業における「しわけ」が、「仕訳」だけの世界にとどまらず、「仕分け」の意味でも実践されることが、必要なのではないかと考えられるからです。

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