2009.12.08

第88回 (A) マルはバツ?翻訳だけではないユーザーインターフェースの国際化【ものづくりの視点】

DIVA AMERICA社長兼事業開発ユニット開発グループ長  中村 研二

米国の企業で8年勤務した後、DIVAに入社し、まず驚いたのは設計資料の多くがExcelで作られていることです。「日本人は表組が好き」というのはよく言われていることですが、改めて目にすると、情報密度が濃いこと、網羅性が高いこと等、情報伝達の手段として表に優れている面があることを再認識しました。

そんな資料の中に、機能の一覧に対して、◎、○、△、×で、「大変良い、良い、まあまあ、良くない」を表しているものがありました。
実は、この資料をそのまま翻訳しただけでは、アメリカ人には理解してもらえません。日本人には、「○はいいもの、×はだめなもの」というコンセンサスがありますが、これは万国共通ではないのです。
例えば娘が現地の小学校で受けたテストの答案を見てみると、間違っている問題のみに○がついています。日本では間違っているものに(チェックマーク)をつける場合がありますが、英語圏ではチェックマークは完了した印、選択した印として、むしろ日本語の○に近い、肯定的なイメージをもって捉えられています。

もう一つの例として、”Hudson”という、米国サン・マイクロシステムズに勤務する日本人の方が開発されているツールを取り上げたいと思います。
Hudsonは、ソースコードが変更されるたびに、コンパイル可能かつテストに合格することを確認する役割を果たす、ソフトウェア開発において重要なツールです。コンパイルとテストが成功すると青、テストにエラーがあると黄色、コンパイルが失敗すると赤いボールを表示してビルド状況を知らせてくれるのですが、以前勤務していた会社の同僚は、「何故成功したビルドが青なのか、理解できない」というのです。
確かに他のテストツールを見てみると、成功した場合は緑色で表示するものがほとんどです。
ご本人に確認した訳ではないので憶測ですが、日本語の「青信号、赤信号」からの類推で青にされたのではないかと考えています。青信号は色盲の方が判別しやすいように、青みがかった緑を用いるそうですが、英語圏の人には、「グリーン」として認識されており、「青=ゴーサイン」という連想は起こらないようです。
Hudsonにはプラグインという、第三者によって機能を拡張できる優れた仕組みがあり、青ボールを緑ボールに置き換えるプラグインを作っている人がいます。柔軟なプラグインシステムは、文字の翻訳を超えた国際化をサポートする好例だと思います。

IFRSの波が押しよせる連結会計ソフトウェア開発において、国内外のユーザに幅広く使って頂けるユーザーインターフェースの重要性は今後ますます増していくと思われます。アプリケーションの国際化は、文字、日付、通貨の扱いの差異を吸収するものであることはもちろんですが、表示形式や色使いに至るまで、文化的背景があることに留意して開発していかなければなりません。現在DIVAでは、多国籍メンバーによるアプリケーション開発が進行中です。異文化、異言語の壁を乗り越え、国際的に通用するアプリケーション提供に向けて、鋭意開発を行っております。

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