2009.12.08

第88回 (B) 内部取引照合業務5つのスタイルとパナソニック電工様の現状【ケーススタディ】

ビジネスソリューションユニット 第5グループ長 竹村 弘樹

内部取引照合業務に多くの手間やストレスを感じつつも業務改善がなかなか進まないという悩みを良くお聞きします。今回は内部取引照合業務にフォーカスし、内部取引照合業務のスタイルの整理とパナソニック電工様の現状業務のご紹介をしてみます。

■内部取引照合業務 5つのスタイル
まず、内部取引照合業務のスタイルは以下の5つに分類できます。

スタイル 照合タイミング グループ各社の差異確認方法 照合単位
1 連結用データ収集後 親会社からの連絡 勘定科目残高単位
2 自発的にレポートで確認
3 個別決算手続時
4 インボイス単位
5 個別会計伝票起票時 伝票起票要求メッセージで確認 個別会計伝票単位

ここで基軸になるのは、スタイル1、3、5の3つで、スタイル2、4はそれぞれの折衷案となります。
基軸となるスタイルについて少し補足しますと、
スタイル1は多くの企業で採用されているオーソドックスなスタイルです。ただ、多くの企業が次のような課題を抱えています。(2008年11月に実施『連結業務に関する実態調査』(293社回答)より)
1位 「差異分析方法」 61%
2位 「照合方法」 56%
3位 「差異報告方法」 34%
スタイル3は「個別決算手続き業務の一部と位置付け」かつ「主体をグループ各社へ移管」する特徴があります。
スタイル5は「個別会計における伝票入力業務の一部と位置付け」、取引の相手会社の伝票を自動もしくは連携して起票することで照合差異を発生させない特徴があり、究極のスタイルと言えます。

これらの5つのスタイル毎に決算早期化・効率化の限界が決まっているため、その選択は企業が最終的にめざすべき目標レベルによっておのずと決まります。例えばスタイル1は連結用データ収集の締め日より早くならず、スタイル3は、個別決算手続より早くなりません。

但し、最終的にめざすべき目標によりスタイルが決定しても、実務上は関係者がグループ各社で法人格、地域、言語、文化等さまざまな環境が異なり意識や品質の統一が容易ではないため、すぐに目標レベルに到達することは容易ではありません。そのためスタイルを変えずに段階的にゴールをめざしていく工夫として、次のようなポイントで決算期毎に要求品質をコントロールしながら少しずつ前進してはどうでしょうか。

調整項目 調整概要
差異調査基準 調査すべき差異金額基準を設定(例:債権債務取引100万以上 etc)
照合サイクル 四半期単位ではなく、月次で実施することで差異分析業務負荷を分散
照合通貨 親会社の決算書作成の通貨ではなく実際の取引通貨にて照合することで、グローバル照合の際の為替換算による影響額を排除し、グループ会社が実際の差異を容易に認識できる環境を準備

■パナソニック電工様 事例
さて、ここまで業務スタイルの特徴をみてきましたが、ここでパナソニック電工様の業務をご紹介します。
【運用スケジュール】
・実働4日までに、連結各社が取引明細データを報告
・暦日8日までに、連結各社が不照合取引の解消を完了

(運用スケジュール)

【業務の狙い】
・各社の個別財務諸表の精度向上
-各社の個別決算が終了するまでの期間内に連結会社間照合業務を完了し、各社に責任のある不照合取引を個別決算修正として適切に反映することで、業績評価などにも利用される個別財務諸表の精度を向上する
・連結会社間取引に関する内部統制の強化
-連結会社間取引に不照合がある場合に個別決算修正となるリスクを持たせ、相互牽制を働かせることで、連結会社間の内部統制を強化する
-連結会社各社が利用している個別会計システムを問わず、グループ全社で牽制を有効に機能させる
・連結決算の最繁忙期の業務効率化と前倒し(早期化)
-連結決算を目的に2通りの内部取引照合業務を統一して、各社の大幅な工数削減と業務の前倒しを可能にし、本社の業務効率化と早期化を達成する
-現実的な業務レベルで運用するために、不照合判定に金額的重要性を考慮する仕組みとする

パナソニック電工様の業務はスタイル3に該当し、この方式を選択された理由は主に次のとおりです。
(1)決算早期化・効率化の目標スケジュール
(2)全連結会社に導入済みだった連結データ収集システムを活用して迅速に環境整備が可能
(3)連結データ収集システムが双方向コミュニケーションに適したオンラインツールであったこと

また、特徴的な点は連結決算における内部取引照合業務の改善にとどまらず、「個別財務諸表のさらなる精緻化」と「連結会社間取引に関する内部統制の強化」に貢献するなど個別・連結それぞれ独立していた業務の枠を超え、補完しあいながら融合している点です。内部取引照合業務の改善について多くの企業が苦労されているなかで、パナソニック電工様の業務改善の成功事例をみると単なる連結決算視点だけの業務改善ではなく、関係者全員が業務改善の効果を享受するように設計されている点が成功要因だったのではないでしょうか。

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