2010.01.26

第91回 (A) IFRSの前に、’公開会社法’?【経営・会計最前線】

ビジネスソリューションユニット 第5グループ リーダー 公認会計士 岩佐 泰次

最近の経理財務の世界はIFRS一色な感もありますが、それとは別に「公開会社法」なるものが着々と進行しています。「公開会社法」とは民主党が野党時代から検討を重ねていたものでありますが(そのさらに前身は自民党に起因するようです)、昨年の政権交代で一気に現実味を帯びてきたと言えます。
つい先日(1/4)も千葉景子法相が、2月にも「公開会社法(仮称)」を法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する方針を発表しました。諮問を受けて作業部会が設置され1年程度かけて議論した後、早ければ2011年の通常国会へ法案を提出するという流れになるようです。
法案成立後の適用は当然その先にはなりますが、金融庁のIFRS受入是非決定(2012年)に先立って法案が成立している可能性もあるという前後関係になります。

では実際に公開会社法とはどのような内容のものなのでしょうか、以下ではその概要について簡単に説明したいと思います。内容としては以下の3つの柱からなります。

(1)情報開示の徹底
これは決算公告、財務諸表、会計監査、新株発行手続、公開買付など、会社法と金融商品取引法との間で異なる手続が存在することによる混乱を招いているという課題認識に対して、公開会社法としては金融商品取引法を準用することでこれらを一本化しようとするものであります。

(2)内部統制・企業統治の強化
これは適正な企業統治を実現するシステムが担保されていないという課題認識に対して、監査役に従業員の代表を選ぶよう義務づけることや社外取締役要件の強化(親会社や借入先から選べないようにすること)などにより、ガバナンスを強化しようとするものであります。

(3)企業集団の明確化
これは子会社の債権者や少数株主に対する親会社の責任について不明確であるという課題認識(支配するけど責任はないという法律構成)に対して、金融商品取引法上の企業集団の概念を前提に子会社の会計制度・内部統制制度の構築と運営の責任は親会社にあることを明確にするものであります。子会社の重要意思決定に親会社株主総会の承認を必要としたり、親会社株主に子会社への代表訴訟提起権を付与したりするなどを想定しています。

この3つの柱の中でも個人的には情報開示の徹底の部分は注意深くフォローしていく必要があると感じています。現在の決算業務プロセスを見ると会社法と金融商品取引法の併存が多大な負担を強いていますが、そのあたりが抜本的に改善されることを期待させるからです。事はそれほど簡単ではないと思われますが、今後日本でもIFRSが適用されていく中で、決算業務プロセスの効率化・負担軽減は改めて重要課題となってくるはずです。そこへ公開会社法が、第三の法律として負担増になることなく、本来の目的に向けてプラスに機能することを期待してやみません。

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