メールマガジン

お問い合わせ・資料請求

2019年04月03日

株式会社ディーバ

第324回 様々な年度概念から四半期報告制度について思った新年度

連結会計事業部 ソリューション推進1部 部長 齊藤 泉

一口に『年度』と言っても、それには様々な種類があることをご存知でしょうか?会計年度や学校年度(いずれも4月~3月)はなじみ深いですが、それ以外にも、酒造年度(7月~6月)、米穀年度(11月~10月)といったように、各種生産物の生産や収穫の時期に応じて有用な期間が様々に定められています。

時代背景等によってこの期間が変わることもあって、酒造年度は酒造りの始まる10月~9月を一期間としていたものを、製造設備や技術の発達によって酒造りの時期が変わったことに合わせて、現在の7月~6月に変更されたそうです。
酒税収入の基本となる酒類の製造数量を把握するという目的に照らして、製造期間の途中で年度が変わると税務検査上不便だということから、国税庁の通達により変更されたそうです。

我々が主な業務領域としている会計(連結会計)の領域においても、目的の変化に合わせた様々な見直しがなされてきました。

少し古い話になりますが、四半期報告制度の導入はその一例で、上場企業等は四半期報告書の提出が義務化されました(それ以前は半期に一度でよかったものです)。これは投資家の投資期間の短期化に応えることが目的であるとされています。
ただ、この制度の有効性に疑問を持つ人や批判的な見解を持つ人も少なからず存在するようで、例えば、イギリスでは2007年に導入したものの2014年に撤廃(任意化)されていますが、これはEU構成国に対して四半期開示の義務付けが禁じられたことによるものです。
また、アメリカでは昨年、トランプ大統領が以下のようにつぶやいています。(Twitter: @realDonaldTrump より)

***

In speaking with some of the world’s top business leaders I asked what it is that would make business (jobs) even better in the U.S. “Stop quarterly reporting & go to a six month system,” said one. That would allow greater flexibility & save money. I have asked the SEC to study!

拙訳)世界のトップビジネスリーダーたちと話す中で、私は米国のビジネス(仕事)をさらに良くするためには何が必要かを尋ねた。ある一人が「四半期報告をやめて半期報告に移行することだ」と語った。それにより、今まで以上に柔軟性が増し、コストを節約することが出来る。私はSECに検討するように指示した。

***

四半期報告制度はアメリカでは早くから導入されていたもので、日本が導入したのも、外国人投資家の存在感が増したことを受けて、彼らの要求を受け入れた側面もあったと言われています。
四半期報告制度の本家とも言える国の大統領がこういった発言をするところからしても、この制度のあり方には議論の余地があるのだろうと感じました。

前述した酒造年度の見直しは、酒の生産時期に合わせるという点で合理的で、徴税側、生産者側ともに不利益を被る人はほとんどいなかったでしょうから、議論が対立することもなかったのだろうと推測しています。これがもしも、税務検査を半年に一度実施するという頻度の見直しだったらまた話は違ったのではないでしょうか。

一方、四半期報告制度の見直しはそのメリット/デメリットの見極めが簡単にはできない点で議論が対立します。見直し賛成派は、四半期報告制度が経営の短期志向を助長し、開示情報の品質低下が投資家にとってデメリットをもたらすと主張し、反対派はそういった事実はないと主張するといった具合です。
また、この議論は各企業等のコスト負担の議論に直結しますが、負担するコストとそれによって享受するメリットのバランスは各企業等によって異なりますので、一律義務化されていることは実態にそぐわないようにも思います。

決算/開示業務をご担当されている方においては、主にそのコスト面から、トランプ大統領のつぶやきに賛同される方が少なくないのではないでしょうか?

弊社は「経営情報の大衆化」をミッションに掲げております。財務情報を中心とした高品質な経営情報を、相対的に少ないコストで公開できるようにすることがその実現につながると捉えています。ハードルは高いですが、その実現に向けての製品開発/提供するソリューションの向上に取組んでいきたいと考えております。