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2019年10月02日

株式会社ディーバ

第336回 (A) 信号機は人の物の見方を変えるか?

開発統括本部 プラットフォーム開発統括部 技術開発室 マネージャー 中谷 泰俊

皆さんは熱いものを食べたときに舌の上で冷ますようなことをした経験はありますか?私はこの間、薄焼き餅を食べたときにそのような経験をしてしまいました。

ガーナのブリ語では熱いものを食べたときに舌の上で転がすことを”Pelinti”と言うそうです。なんと、これを表現するために専用の言葉があるのです。けど、この言葉は熱いみそ汁を飲んだ時にも使っても良いのでしょうか?ごめんなさい、私にはわかりません。ですが日本語にもあると便利かもしれない言葉ですね。

また逆に、日本語では簡単に表せる概念もほかの言語では簡単に表すことができない場合もあります。少し前の話ですが日本語の「忖度」という言葉が外国人記者には翻訳しづらかったというのは有名な話ですね。

もしかすると、言語が異なると世界の認識の仕方も変わるのかもしれません。
例えば、青信号は英語では”green signal”(緑信号)と言わなければなりません。最近の日本の信号機の色は、LED化以降、国際標準で許される限界まで青色に寄せられているようです。つまるところ青緑になっているのですが、日本人はこれを見て青色だという人が半分近くいるのに対し、英語圏の人はほとんどが緑だと言うそうです。

これは人の物の見方が使っている言語に引っ張られるという例です。「言語が異なると世界の認識の仕方も変わる」という話はサピア=ウォーフ仮説という名前で知られています。仮説ですので実証されたものというわけではありませんが、多くの方の実感に即しているので、ある程度支持されています。

弊社の中にも世界のいろいろな国からのバックグラウンドを持つ仲間がおり、弊社全体としての世界の認識の仕方を広げています。そして多様な世界の認識の方法を持つ仲間と一緒に製品開発を進めています。ひいてはそれがお客様の役に立つプロダクトを作ることになると信じています。

そして私は最近このサピア=ウォーフ仮説はコンピュータ言語にも適用されるのではないかと考えるようになりました。つまり、扱うコンピュータ言語が変わると世界への認識が変わり、その結果、やろうと思う物が変わってくることがあるのではないかという話です。使う道具によって世界の認識の仕方が変わるのは本来あってはならないことです。しかし先ほどの例の通り、人間の性質としてどうしてもそういうことが起きてしまうのだろうと思います。道具は道具でも特に言語は世界の認識の方法に深くかかわるためです。これも先ほどの自然言語の話と同じで、弊社の中でもいろいろなコンピュータ言語を得意とする仲間と仕事をすることで全体としての世界の認識の仕方を広げて行くことができれば良いのではないかと考えています。

最後に「サピア=ウォーフ仮説」が気になった方には『メッセージ』(2016)という題のSF映画をお勧めしておきます。もしあなたが異星人の言葉を理解してしまうと、今生きているこの世界はどのように見えてしまうのでしょうか?ちょっとワクワクした方は是非ご覧ください。